ハリネズミとのお別れ

動かなくなったマロンを膝に抱きながら泣き続けていると、マロンの針が少しずつ逆立ってきていることに気がついた。死後硬直が始まったのだ。ずっと抱き続けていたいと思いつつも、このままでは変な形に硬直してしまうという冷静な自分もいて、とりあえずマロンの体がおさまるような木箱を探した。フードの瓶を並べていた100均の木箱がちょうど良さそうだったので、そこに保冷剤を入れて寝袋を敷き、マロンを寝かせた。

目を開けていたので、そっとまぶたを押して閉じてあげた。私のことを見つめてくれたつぶらな丸い瞳。今閉じてしまったらもう二度と開くことはない思うとつらかったが、目が乾いてしまうのはかわいそうなので「おやすみ」と声をかけて閉じた。

うっすら開いていた口は時間が経つごとにますます開いてきた。口の中からのぞく歯は全て白くて虫歯も歯石もない。本当に綺麗な歯だった。カリカリフードのみを食べ続けたおかげだろう。かわいい歯もずっと眺めていたいが、優しく鼻先をつまんで閉じた。

脇腹と肉球はいつまで経ってもやわらかいままだった。筋肉がないので硬直しないのだろう。脇腹を触っているとただ眠っているだけのようで、ずっとプニプニマッサージをしていたら息を吹き返すのではないかと思うくらいだ。しかし、その思いを断ち切るかのように、頭から背中、お尻にかけて針がゆっくりと逆立っていく。穏やかな顔で眠っているのに、針はチクチクと逆立っている。生前のマロンではありえない姿で、やはりもうこの体は空っぽなのだと思い知らされた。

ハリネズミの供養は土葬と火葬とあるが、私は手元に遺骨を残しておきたかったので火葬を選んだ。地元に犬や猫、小動物等のペット葬儀を行ってくれるサービスがあることを知っていたのでそこに電話をする。マロンが3歳になった時、もしもの時に備えて事前に調べておいたところだ。

生きている時に供養方法を調べるというのはなんだか不謹慎な気がするかもしれないが、ペットを飼った時点で、いつかお別れの日を迎えることを覚悟する必要がある。お別れは突然訪れるし、その時はパニックになるので、むしろ元気なうちに情報収集だけはしておいた方がよいと思う。

依頼した葬儀屋さんは地元の寺院と提携しているところで、完全個別火葬をしてくれるところだった。葬儀屋さんが自宅まで訪問し遺体を預かってお骨にして返してくれる「一任火葬」と、葬儀屋さんまで連れて行って火葬と収骨を行う「立合火葬」の二つのサービスがあった。費用はいずれも16,000円(税別)。私は最後まで全部見届けたかったので「立合火葬」をお願いした。7日のお昼に予約可能ということだったので申し込んだ。もう少しこのままマロンを手元に置いておきたい気持ちもあったが、娘の冬休みが7日までなので、娘も立ち会えるよう7日に決めた。

夕方部活動を終えた娘が帰ってきた。マロンのことは夫が連絡したらしくすでに知っていて、私よりも冷静にお別れを受け入れていた。私が夫に連絡した時、私から話すと伝えていたのに、その時の私の様子にただならぬものを感じたらしく、私を慰めるよう娘にメールをしてしまったらしい。マイペースを具現化したような夫もびっくりするくらい早く帰宅して寄り添ってくれた。自分は気丈に振る舞っていたつもりだったが全然ダメだったようだ。家族にものすごく心配をかけてしまった。

その夜はずっとマロンを膝に抱いていた。このままずっと朝まで抱いていたかったが「眠ってうっかりつぶしちゃったら大変でしょ」と夫に冷静なツッコミをされたのでケージに戻す。ケージ越しに見るマロンは本当にただ眠っているようにしか見えなかった。

7日の朝、ケージを覗くとマロンが昨日と同じ姿勢のまま眠っていた。一晩経ってもマロンは綺麗なままで、出血したり体液が出たりしていなかった。ご飯を食べていないので便もたまっていなかったらしく、おしりもきれいなままだった。「身綺麗にして逝ったんだね。」と夫が呟いた。夫は仕事のため出勤前に家でお別れをした。

11時頃、母が家まで来てくれた。眠っているようにしか見えないマロンを撫で真っ先に「今までありがとうね」と言ってくれた。私は悲しい、寂しいばかりでちゃんとありがとうを言っていなかったなとその時に気がついた。

マロンを連れて家を出る時間になった。家を出て、帰ってきた時にはお骨になっている。このマロンの姿を家で見ることはもう二度とないのだと思うとまたどうしようもなく辛くて悲しかった。剥製でもいいから、このままの姿で家にいて欲しいという気持ちと、空っぽの体だけいても余計に辛いという気持ちが混ざり合いぐちゃぐちゃになった。私がぐずぐず逡巡していると、娘が一緒にマロンをキャリーバックに入れてくれた。

葬儀屋さんに着くと、小さなカゴにマロンを移した。祭壇にマロンをのせお線香をあげる。娘と母と私の3人で、マロンのカゴにドライフラワーを並べた。匂いに敏感な子だったので顔の周りには花は入れず、代わりに大好きなヘッジホッグダイエットを置いてあげた。

葬儀屋さんと一緒に炉の前まで行き、最後のお別れをした。この姿はもうなくなる。チクチクの針も、ピンクのお鼻もプニプニの肉球も、ムニムニした脇腹も。そう思うとマロンの体からなかなか手を放すことができなかった。葬儀屋さんは急かすことなく、静かに見守っていてくれた。気持ちよさそうに眠っているようにしか見えないマロンの顔を見つめ、いつも私が寝る前にしていたように「おやすみ、マロンパン。」と声をかけた。

炉の扉が閉じられ点火ボタンが押されると、煙突のようなところからゆらゆらと炎と煙があがった。一時間半ほど時間がかかるとのことだったので、精進落しの代わりに近くの不二家で食事をした。

一時間半後、マロンは小さなお骨になっていた。思った以上に小さかった。ハリネズミの体のボリューム感を出しているのはやっぱり背中の針山なのだなと思った。骨は真っ白で、頭の骨はマロンの顔のイメージができるくらいしっかり形が残っていた。小さな歯もきれいな形で残っていた。一体どこが悪かったのだろう。

3人でマロンの骨を拾い、小さな骨壺に入れた。骨壺は陶器のものと、お庭に埋めた時に自然にかえる紙製のものとがあった。やはり埋める気にはならなかったので、陶器の骨壺にした。

葬儀屋さんにお礼を言い、家路につく。火葬と収骨に立ち会うことで少し気持ちの整理がついた。未練がましくマロンの体から手を放すことができなかった私に寄り添ってくれた母と娘、そして葬儀屋さんには本当に感謝しかない。

家に帰り、マロンのお骨を私のカフェテーブルに安置した。母のくれたお花を供え、フードとお水をあげた。そしてすぐに玄関にあったマロンのケージを片付けた。「おはよう、マロンパ〜ン」から始まり「いってきマロンパ〜ン」「ただいマロンパ〜ン」「おやすみマロンパ〜ン」と1日に何度も覗き込み、声をかけてきたマロンのおうち。主のいない空っぽのおうちがそこにあることが、どうしても耐えられなかった。

一方で、マロンの足跡が残るトイレ砂には手をつけることができなかった。かわいい足、ぽよぽよのお腹の形がハリ砂に綺麗に残っている。マロンがここにいた痕跡だ。

私の読んだ本ではハリネズミの寿命は5〜8年とあった。しかしハリ飼いさんのブログやSNSを見ていると、3歳前後で亡くなっている子が多いと感じた。最近の情報だとヨツユビハリネズミの平均寿命は3〜4年と書かれていたりもする。

そのため3歳が一つのターニングポイントだと思っていた。だから3歳の誕生日を元気に迎えられたときは本当にうれしかったし、この調子ならマロンは5歳くらいまで生きるだろうと思っていた。歯もしっかりしているし、肌も綺麗でフケや瘡蓋はなかった。お腹を触ってもしこり的なものはなかったし、毎日快便だった。どこも具合が悪そうなところはなかったので、元気にシニア期を過ごしていると思っていた。

一方で、3歳を超えてから動きが緩慢になり、遊ぶことが少なくなったとも感じていた。後ろ足で背中を描く時もよろけるようになった。食べる量も昔より減ったし、寝ている時間も増えた。歳のせいだと思っていたこうした現象は、もしかしたら病気に由来するものだったのかもしれない。突然逝ってしまったように思えるが、私が病気のサインを見落としていただけなのかもしれない。

マロンが亡くなった原因を知りたくはあったが、遺体を解剖に出す気にはならなかった。静かに眠るマロンの体にメスをいれるようなことはしたくなかったのだ。そのため、マロンの死因が寿命によるものなのか、病気によるものなのかはわからない。苦しそうな様子をみせず、静かに逝ったことだけが救いだ。

私の飼育下で、マロンは天寿を全うすることができたのか。快適に過ごすことができていたのか。答えのない問いがぐるぐるとまわっている。きっとずっと回り続けるだろう。

ただ一つ、最期の時間をマロンと二人きりで過ごせたのは本当に幸運なことだったと思う。生活リズム的には、朝起きたら亡くなっていたという可能性や、帰宅したら亡くなっていたという可能性の方が高かったはずだ。もしマロンが私の膝の上を最期の場所に選んでくれたのだとしたら、こんなに嬉しいことはない。

ハリネズミの旅立ち

あまりにも悲しい出来事があった時、人の脳はその記憶を削除して精神を守ろうとするらしい。まだ数日しか経っていないのに、マロンとお別れした日の記憶が薄らいでいく。忘れてしまえば楽になるのかもしれないけれど、絶対に忘れたくはないので文字にして残しておく。

一番最初の異変は1月5日(日)の午前3時。年始早々夜更かしをしていた私は「フニャ!」というマロンの声に気がついてケージからマロンを抱き上げた。膝にのせるとえずくように口をパクパクさせてフードを吐いた。吐いたものはブリスキーだった。好きではないフードだから吐いたのかなと思い、口元を拭って、フードと水を新しいものに替えた。今思い返せば、マロンはあまり吐かない子だった。この時点でもう少し事態を深刻にみていればよかったのかもしれない。

午前8時半ごろ、いつものようにマロンをケージから出す。マロンはトイレに行って用をたすが、うんちがお尻にくっついたままだった。色も硬さも普通だったので、単に加齢によって足腰の力が弱くなり、うまくいきめなくなっているのかなと思った。吐いてからはごはんを食べていないようだったので、大好きなヘッジホッグダイエットをお皿に入れて差し出す。匂いは嗅ぐものの、食べようとはしなかった。朝フードを食べない日もよくあったので、特に気にせず、少し遊ばせてからケージに戻してお留守番させた。

午後6時頃に帰宅し、ケージを覗くと全くごはんを食べていない。ここでちょっとおかしいなと思った。抱き上げて体をチェックしたところ、薄く血の滲んだよだれが出ていることに気がついた。口元を確認すると、右側の下の歯茎が少し赤くなっていた。もしかしたら歯肉炎かもしれない。これが痛くてご飯が食べられないのだろうと思った。

カリカリ派のマロンには申し訳ないがヘッジホッグダイエットをふやかしてドロドロにしたものをあげてみた。なかなか食べようとはしなかったが、根気よく待っていたらペロリと舌を出し、少しだけ食べてくれた。水も飲んでいる様子がなかったので、スポイトで与えようとしたが拒否し、私の掌に水がこぼれた。するとそれをペロペロと舐めて飲み始めたのでそのまま掌に水を追加しながら水を飲ませた。

この時、漠然と嫌な予感がした。水を飲まないというのは良くない兆候だ。病院に連れて行きたいが、あいにく6日(月)は休診日。開院している他の病院を探して連れて行っていった方が良いだろうか。体調が悪いのに遠方の知らない病院に連れていくことは余計にストレスになるのではないか。優柔普段な私は決めきれず、明日の様子を見て決めようと思った。

6日(月)の朝、マロンは跳び箱ハウスの中から顔を出しケージから出してもらうのをスタンバイしているようだった。ご飯はやはり食べた形跡がない。うんちもしていない。抱き上げて外に出すと、歩き方がおかしい。後脚をうまく動かせていないようでふらふらとしている。えっ?と思い私の膝(フリース)の上に乗せると何事もなかったかのように歩いてホリホリ遊びはじめる。フローリングの床が滑るせいかと思い、試しにソファーにのせたところ、やはり後脚を引きずるようにふらついた歩き方をする。背中の脈動もいつもより大きいような気がした。

足に異常があるのかと思い仰向けに寝かせてみたところ、後ろ足が一瞬ピクピクと痙攣した。それを見てハリネズミ特有のふらつき症候群(WHS)が頭をよぎった。ふらつき症候群(WHS)であった場合、闘病は長期戦となり、定期的に通院することになる。片道二時間以上かかる遠方の病院では移動時の負担が大きい。明日まで様子を見て近く(といっても片道一時間)の病院に行く方が負担は少ない。どうしたものかと再び膝にのせたところ、また何事もなかったかのようにもそもそと歩いてベットメイキングをはじめる。

今度はハリハウスに移動させて様子をみたところ、ヨタヨタとはしているが後脚を動かし自分で歩いていた。

どうしたものか。決めきれず、出かける準備をしつつ午前中いっぱい様子を見ることにした。ハリハウスを覗き込むと「なあに?」という感じで鼻先をもちあげる。ご飯は食べないが先ほどのような痙攣は起こらない。私がしょっ中覗き込むせいか、あまり寝ようとしないマロン。落ち着いて眠れるようにとケージに戻したところ、ポテポテと歩いて給水機へ向かい、いつものように勢いよく水を飲み始めた。水を飲み終わるとその場でおしっこをした。「ああ!よかった。」と安心した。ハリネズミは2-3日であれば食事をしなくても平気な動物だ。水が飲めて、おしっこがでるのであれば1日このまま様子を見ても大丈夫だろうと思い、病院は7日に行くことに決めた。

お漏らししてしまったシーツを片付けていると、今度はマロンがフードをカリカリと食べ始めた。少量ではあったが自分から食べる姿を見てさらにホッとした。食欲はある。やはり歯茎に痛みがあるので食べようとしないのだろう。ならば歯茎に負担のかかりにくい形状のものであれば食べてくれるのかもしれないと思い、ペットショップへ走った。昔マロンが食べていたドライチーズや栄養価が高い子猫用の流動食、ダメ元でミルワームなどを買う。いざとなったら強制給餌ができるよう、シリンジも購入した。

帰宅するとマロンはトイレの上にいた。トイレのヘリに顎をのせて寝っ転がっている。いつもは跳び箱ハウスの中で寝ているのに、トイレの上で野良寝している。おしっこやうんちをした形跡はない。不自然な野良寝だ。心配になり抱き上げて外に出すと、私の膝の上をもそもそと歩き回ってベッドメイキングを始める。ヨタヨタしているが動き回る元気はある。単に食べていないから力が出ないだけなのだろうかと思った。

マロンを膝にのせた状態で「いろいろ買ってきてみたんだけどどうかなー」と言って、まずチーズを口元に持っていく。匂いを嗅ぐが拒否。元気な時に全く食べようとしなかったミルワームは当然のことながら断固拒否。「やっぱりだめかー」と見ていると、えずくように口をくちゃくちゃ開け閉めし始めた。昨日ブリスキーを吐いた時と同じだ。明日病院でこの症状を見てもらおうと思い、動画を10秒ほど撮影する。結果的にこれが最後のマロン動画となってしまった。

口元から血の滲んだ唾液が出ているのに気がつき、ガーゼでそれを拭った。右側の歯茎から少し出血しているのがわかった。昨日の血の混じった唾液もこの炎症部分からの出血によるものだとわかった。もしかしたら血の味がして口の中が気持ちが悪いからフードを食べないのかもしれない。そう思って湿らせたガーゼで血が出ている歯茎をそっと拭いたところ、私の指ごとガーゼにガブっと噛み付いた。噛む力は十分に残っているのがわかり安心した。

口を拭った後、今度は子猫用流動食をスプーンに出し、口元に差し出す。少しでも舐めてくれればと思い、腫れていない方の口元にフードをつけてみた。やっぱり舐めてくれない。やはり偏食王子は一筋縄ではいかない。給餌を諦め「本当に頑固な子だねえ」と、口元につけたフードをガーゼで拭き取った時、違和感を感じて背筋が寒くなった。なぜだか「もういない」ことがわかったのだ。

さっきまで脈打っていた針山が動いていない。おそるおそる「マロン?」と膝から抱き上げる。いつものきょとん顔で手足をおっ広げたマロンだが、ピクピクと常に動いていた鼻先が動いていない。目も動いていない。お腹や背中に顔を当ててみた。何も聞こえないし、何も感じない。頭では逝ってしまったことを理解したが、気持ちがついてこなかった。

ハリネズミは臆病な動物なので、マロンにはいつも穏やかな小さな声で話しかけるようにしていた。それなのにその時の私は、自分でもびっくりするくらいの大きな声で「やだやだやだやだ!逝かないで!マロン!」と文字通り泣き叫んでいた。暴走する感情と「落ち着いて!心臓マッサージを試そう」という冷静な思考とが完全に分離していて、まるで自分ではないみたいだった。娘や夫がいない時で本当によかったと思う。あんな取り乱した姿、家族であっても見せたくない。

まだ温かくて柔らかいマロンを膝に抱きながらひたすら泣いた。一方でそれを俯瞰して見ている自分もいた。

長距離でも今日病院に連れて行けばよかったのだろうか。でも慣れない移動で通院中に亡くなっていたかもしれない。

歯肉炎が原因で食欲がないのではなく、内臓疾患があったのではないか。マロンの体が発していた病気のサインを私は見落としていたのではないか。

被捕食動物のハリネズミは本能的に体調の悪さを隠す。最後に水を飲んだりフードを食べたりしたのは野生本能に基づくフェイントだったのではないか。

3歳になった時点で一度健康診断を受けた方がよかったのかもしれない。でも、元気なのに麻酔をかけて診断を受けることはストレスになるし、マロンはそんなことを望んではいないだろう。長生きを願うのは私のエゴではないのか。そう思ってやめたのではなかったか。

あの時、えずいていたのは呼吸が苦しかったからではないのか。だとしたら無理にフードを食べさせようとせず、マロンのペースに任せておけばよかったのでは。さっきの給餌がストレスになり、死を早めたのではないか。

食べたくないなら好きに膝の上を歩かせて、好きな体勢で寝かせてあげればよかった。楽な体勢で休ませていれば体力回復したかもしれない。

最後に口につけたのが大好きなヘッジホッグダイエットじゃなくてごめんなさい。

後悔やら言い訳やら謝罪やら、様々な思考が頭の中でぐるぐると巡っていた。

虹の橋へ

1月6日午後3時過ぎ、マロン君が虹の橋を渡ってしまいました。年明け最初の記事に「ご飯を食べずに寝てばかり」と書いた翌日でした。3歳と7ヶ月。私の膝の上、お気に入りの毛玉だらけのフリースの上で眠りにつきました。あまりにも突然で、あっけなく、全く気持ちの整理がついていません。

マロンをお迎えした時に、必ず別れの日は来るという覚悟はしていましたが、マロンとの別れは思っていた以上に辛いものでした。それはマロンが子供の頃から大好きだったハリネズミという動物であり、私がメインで世話をした初めてのペットであったからなのだと思います。

マロンの事を思い出すと胸の奥がキューッと締め付けられ、涙が止まらなくなるのでマロンの事を考えないようにしている自分がいます。でも、ペットを飼うという事はお迎えからお別れまでを受け入れるという事だと思うので、マロンの飼育記録を綴るブログとして開設したこのブログも、きちんとお別れまで書いて締めたいと思います。

増えてきたとはいえ、まだまだ飼育事例の少ないハリネズミ。情報共有のためにもハリネズミが亡くなるまでの経緯ハリネズミの供養方法についての記事だけは必ず書くつもりです。それらの記事を最後に、こちらのブログを終えようと思います。

いつもブログを読んでくださっていたみなさん、本当にどうもありがとうございました。

シニア対応

先週のことだが、フードを食べている時「フミャッ!」という悲鳴のような声をあげるようになった。歯とか口に炎症がおきてそれが痛むのだろうかと口の中をのぞいてみたが、特に目立ったような外傷や腫れはない。

声をあげはじめたのがFayのフード(硬め)を追加し始めたタイミングだったので、もしかしてそのせいかしらと思い、フードを砕いて与えてみることにした。

砕く前のフード。Fayのフードは小粒だが結構硬い。

砕いた後のフード。Fayのフードは細かく砕く。ついでにヘッジホッグダイエットとブリスキーも半分くらいのサイズに砕いてみた。

これで様子をみたところ、悲鳴をあげなくなった。やはり硬いフードのせいだったようだ。思いがけず硬いものをゴリっと噛んでしまい「イテッ!」となることは私も時々ある。マロンの弱ってきた歯にはFayの硬さは厳しかったようだ。また、ヘッジホッグダイエットとブリスキーも砕いてあげた時の方がよく食べた。歳をとってくると歯が弱ってくるので、フードの硬さにも注意しなければいけないのだと学んだ。

マロンのようにふやかしフードを食べないシニアさんにはフードを食べやすいサイズに砕いてあげるとよいのかもしれない。袋に入れてトンカチなどで粉砕するのが一番手軽だが、我が家の王子は砕きすぎてしまうと逆に食べなくなる(粉っぽいのが嫌らしい。)のでスプーンで一粒一粒砕いている。

腫れぼったかった左目の方は目薬のおかげで元どおりに。

あれ?またしょぼしょぼしてきたかな?

…単に眠いだけだった。ここで寝られると動けない。(これが噂の仕事やらせないbotってやつか…。)

ハリネズミの目薬

一週間ほど前、マロンの左目がなんか腫れぼったいことに気がついた。最初は寝起きだからかなと思ったが1日こんな感じで、左目だけしょぼしょぼしている。

正面から見ると左右の目の大きさが違う。おそらく結膜炎とのことで目薬デビューした。

マロンの目薬の差し方をご紹介。目薬の差し方については病院で指導があると思うので、かかりつけ医の指導に従ってください。あくまで参考程度に…。

1.清潔なガーゼとハリネズミの体を人の体にくっつけるように片手でしっかりと抱く。

ハリネズミの目薬の差し方

2.ハリネズミの頭をしっかり支えながらもう片方の手で素早く目薬を一滴差す。

3.目から溢れた目薬を優しくガーゼで拭き取る。

ポイントは怖がらず、しっかりと支えて素早く点眼すること。耳掃除や爪切りも同じだが、こちら側にためらいや不安があるとそれが伝わるのか暴れたりする。「まかせておきなさい!」としっかりホールドして素早く済ます方がハリネズミへのストレスも少ないと思う。

点眼初めて一週間。左目のはれぼったさがひいてきた。

点眼後「ふーやれやれ」とばかりにソファーで伸びるマロン。

なんかひらたい…。

Fay Hedgehog Foodをあげてみた

Fay Hedgehog Food (フェイ ハリネズミフード)

シニア期に入ったのでカルシウムを強化したいなと思い、現在新規フード開拓中。今回はFay Hedgehog Food (フェイ ハリネズミフード) を買ってみた。

Fay Hedgehog Food (フェイ ハリネズミフード)

高タンパク低カロリーなので高齢のハリネズミ向きであり、ハリネズミ固有の病気であるふらつき症候群(WHS)も考慮しているとのこと。原産国はタイ。

確かにマロンの主食ヘッジホッグダイエットと比べると脂肪分がだいぶ少ない。

Fayハリネズミフード
タンパク質30%/脂肪9%/繊維3%/水分8%/ビタミンA 11.480 lu/kg/ビタミンE160 lu/kg/カルシウム13mg/kg

ヘッジホッグダイエット
成分:タンパク質38%/脂肪20%/繊維4%/水分7.5%/ビタミンA 12000AU/kg

粒の大きさはヘッジホッグダイエット(右)やブリスキー社Basic(左)より小さめ。硬さは3種の中で一番硬い。臭いは肉系というより魚系の臭いがする。そこはかとなく煮干しっぽい感じ。Amazonレビューでは食いつきが良いと高評価だったので、我が家の偏食王子も食べてくれるかもしれない。

いつものフードに20粒ほど混ぜて与えてみる。歯周病や歯石予防のためにふやかさずに与えることを推奨しているのでそのまま混ぜる。(結構硬いのでふやかしフードに慣れている子は少しふやかすなどの対応をすると良いかも)

わーい。ごはん、ごはん〜。

!!

ちょっと主さん、なんか知らないものが混ざってるんですけど…。

やはり食に関しては神経質なマロン。すぐに知らないフードが混ざっていることに気がつき、朝は食べてくれなかった。
でも完全拒否という感じではなかったのでそのまま様子をみることに。

一晩置いて確認したところ、20粒中、一粒だけかじっていた。ヘッジホッグダイエットの方はいつも通り完食。Fayのフードを混ぜたせいでフード自体を食べなくなる、といったことは起こらなかったのでよしとする。ブリスキー社Basicのように気が向いたら口にするという感じになってくれれば良いのだが。それにしても、小さいサイズのフードをよく選り好みできるなあ…。

ハリネズミと気圧変化

12日〜13日にかけてマロンがフードを食べなくなった。水もあまり飲まずにひたすら一日中寝てばかり。どこかが腫れていたり、痛そうだったりする感じはなく、便の状態も普通。ただ、食べない&飲まない。原因がわからず心配したが、どうやら台風接近による気圧変化が原因だったようだ。

私も台風が上陸した12日は一日中頭痛に悩まされており、もしかして…と調べたところ、動物も気圧変化の影響を受け体調を崩すことがあるらしい。台風がもたらす低気圧のせいで血管や内臓が膨張してしまい、血流が悪くなる傾向があるとのこと。高齢だったり腎臓が悪かったりする場合は、特に影響を受けやすいそうだ。

台風が過ぎた後はいつもの食欲に戻り一安心。私の頭痛も嘘のようになくなった。

各地に甚大な被害を残した台風19号。河川の氾濫や土砂崩れだけでなく、動物の体調不良まで引き起こすとは…私が知る中で最大最悪の台風だ。

被災地域が一刻も早く通常の生活を取り戻すことができますように。

ハリチュール

先日マロンのトイレ砂を買いに行ったらスティック状のハリネズミおやつが売っていたので買ってみた。CASA(マルカン)のハリネズミ・モモンガのチキンピューレ(チーズ)。猫や犬のおやつとして人気のチュールのような感じである。

さすがに一本そのままあげるには量が多いのでスプーンに出してあげてみた。ピューレ状で、匂いはチーズというよりチキンだ。ツナ缶みたいな、ソフトタイプのキャットフードみたいな感じといったら伝わるだろうか。

カルシウム、ビタミンD2、タウリンなど不足しがちな栄養素を補給するとの説明がある。最近歳のせいか、針の密度がうすくなっているマロン。抜ける本数はそんなに変わっていないし(一日2〜3本程度。)皮膚も綺麗なピンク色。抜けた所からは新しい針も生えてきている。ただ、新しい針が生えるスピードが前よりも遅くなったような気がするので、発毛…とうか発針促進のためにもカルシウムを積極的に摂取してもらいたい。どうか食べてくれますように…。

偏食王子マロン。やはり一筋縄ではいかない。嗅ぎなれないチキンの匂いが気に入らないようだ。

じんわりと針を逆立てて「いりません!」と断固拒否のポーズ。初めての食べ物は警戒するからな…ということでとりあえず一週間続けてみたがやはり食べてくれなかった。お腹をすかせているタイミングを見計らって与えているのだが頑なに拒否。

根負けしていつものフードを差し出すとささっと寄ってきて食べる。

ミルミルも嫌、コオロギも嫌、Mazuriも嫌、そして今回のチキンピューレも嫌…。食べ物に関しては本当にこだわりが強くて参る。

ハリネズミの野良寝

野良寝するハリネズミ

7月にしては涼しい日が続いていたが、海の日を超えたあたりから急に蒸し暑くなってきた。

野良寝するハリネズミ

リビングで野良寝しながらトイレ&ハウスの清掃を待つマロン。手足を伸ばして床にぴったりと腹ばいになっている。暑い日はひんやりした床が気持ちいいらしい。

日中巣穴で眠る小動物が巣穴の外で寝ることを野良寝という。この季節はSNS等でもハムスターの野良寝が話題になっている。無防備な寝姿を間近に見ることができるので野良寝はかわいいと人気だ。しかし、本来巣穴で眠るような小動物が野良寝をするのはあまり普通のことではないので注意が必要な場合もある。

野良寝の理由としてよく挙げられているのは「人馴れして警戒心がなくなった」と言うものだが、この他にも

1.暑い
2.巣穴の居心地がわるい
3.巣穴まで戻る力が残っていない

といった、どちらかというとあまりよくない理由が隠れている場合がある。被捕食者側にいる動物が堂々と寝姿をさらすことはあまり普通のことではない。普通のことではないということは巣穴か動物側に問題がある可能性がある。毎日のように野良寝が続く場合は、巣穴や寝床のコンディション、そして動物の健康状態をチェックした方が良いと思う。特に夏はケージやハウスが思いの外暑くなっていたりする場合がある。また湿度が高いと雑菌も増えやすい。

ハウスの掃除が終わるといそいそとハウスに入って寝床作りを始めるマロン。やっぱり潜って寝るのが安心するようだ。

ハリネズミのケガと消毒

ハリネズミのケガ

先日マロンがケガをした。鼻先で穴を掘るのが好きなのでハウスか何かに鼻をこすった際、口元を擦りむいてしまったようだ。痛そうな様子はないが出血していたのでかなりびっくりした。

下からみると悪化したおできのように腫れているのがよくわかる。ハリネズミの口内には雑菌が多いため、ちょっとした怪我でも悪化しやすいそうだ。

血と一緒にウミも出ていたのでそれらを拭き取って傷口を消毒。血はすぐ止まったのでこのまま自宅で様子をみることにする。またばい菌が入らないように水や餌は口をつけるたびに取り替え、口周りの清潔を保つようにした。

消毒に使ったのはペット用の消毒液Comosy(コモスイ) ペット。主成分は次亜塩素酸ナトリウム。哺乳瓶消毒液で有名なミルトンと同じ成分である。

説明書きには「ペットにも人にも安全で飲んでも害はない」と書いてあるが、ハリネズミは犬や猫よりもずっと体が小さい。そのためうちでは原液ではなく少し薄めてから(1.5〜2倍)使用している。除菌・消臭効果があり、ケージの掃除にも使える。

翌朝、マロンの傷口はかさぶたになっていた。前の日から出血もないようで一安心。

腫れも前の日よりひいてきている。

さらにその翌日(3日後)にはかさぶたもとれ、傷口は綺麗になった。まだ腫れた感じはあるが快方に向かっているようでホッとする。

ケガから5日後、腫れもひいてきた。

ハリネズミはとても代謝が早いので、ケガも治るのが早い。軽い怪我の場合、患部の消毒と清潔の維持ができれば自宅での治療も可能だが、患部を触らせてくれない場合&腫れや出血が続くは即病院へ。ハリネズミは被捕食生物であるため体調の悪さやケガを隠す傾向がある。様子がおかしくなった時にはもう手遅れ…ということが多いようなので、毎日の健康チェックを欠かさないようにしよう。

ほんと、心配しましたよマロンさん。